ここまで読んでくださった方は、だいぶ自分がやりたいお店のイメージが固まったのではないでしょうか。
ここからは実践編になります。
しかし、まだ物件を決めたり、お金の算段をする段階ではありません。
準備する前の準備と言ったところですね。
この準備をするかしないかで、開業後スムーズに収益化できるかどうかがかかっていると思います。
飲食店で働いてみる
前も書きましたが、女性ひとりのお店は必ず人が入ります。
但し、客単価が低く客層も悪い中でカツカツの収入を得るか、良いお客様に囲まれ、余裕がある経営ができるかどうかは事前の準備にかかっています。
あせらずとも準備をしっかりしてからのほうが成功に結びつきやすい、ということを念頭においてください。
もしあなたが昼間働いているなら、飲食店のアルバイトに行くといいでしょう。
飲食店はどんな店でも人手不足です。
週末だけ、もしくは夜だけでもアルバイト大歓迎というお店が多いです。
副業禁止でむずかしい、という方もいるかもしれませんが、
まったく飲食店の経験がなくて、いきなり開業するのは無謀だと思います。
未経験で営業できないわけではありませんが、お客様というのはあなたの店のほかにもいろんな店に行っているのです。
つまり、あなたの店と何年もやっているプロのお店と比較されることになります。
あなたが客の立場で行くとしたらどうですか?
接客の経験もない、人に食べさせる料理を作ったこともない人の店に行きたいと思いますか?
来店したお客様から「二度目はないな」と思われたら悲しいですよね。
資格はなくても良い。しかし…
女性ひとりで営業するような間口の狭い店であれば、実のところ調理師免許は要りません。
しかし有るに超したことはありません。
調理師免許があれば、単価を上げることができるからです。
私が知っている小料理屋のママは、調理師免許と焼酎アドバイザーの資格を持っており、着物で接客していました。
この店は常に満員で、予約しなければ入れない人気店です。
女性ひとりで営業しているにも関わらず、客単価は6000円以上。
これは地方都市なら高級店の部類に入ると思います。
席数はカウンター6席と小上がり4席でMAX10名が入ります。
お客様は女性ひとりの店に家庭的な雰囲気を求めて来る場合が多いです。
しかし資格があれば「家庭料理」ではなく「本格的な料理」と見なされるのです。
また焼酎アドバイザーの資格もあることで、お勧めするお酒にも説得力が増します。
ちゃんとした料理が出せるお店はそれだけで人気がでます。
また、毎日予約で埋まれば食品ロスも少なくなり、決まった売り上げが見込めます。
願ったり叶ったりですね。
お店に説得力をもたせる
女性ひとりの店は男性客が来やすいですよね。
そして飲食店により多くお金を落としてくれるのは男性です。
嫌な話ですが男性というのは女性を下に見がちです。
資格もなくやっていると、上から目線でものを教えたがる人がおおぜい現れます。
あなたが素直な天然キャラで、男性からものを教えられることに抵抗がないのであれば、特に知識や資格はなくてもよいでしょう。
「教えてください」と言えば喜んで教えてくれる男性はたくさん出てきますから。
逆にそれを売りにしてもよいし、男性客からは好まれるでしょう
お客様からえらそうにされるのが嫌なら、資格を取っておいた方が無難です。
何の根拠もなく「えらそうにしたいだけの人」を撃退することもできますので。
食べ歩きに行こう
あなたはお酒を呑みますか?
食べ歩きは?
飲食店を始めるのであれば、いろんなお店に行ってみたほうが絶対良いです。
女性ひとりの店はもちろんの事、自分がイメージしている規模の店を回ってみて、どういう営業をしているかリサーチしてみるのです。
人気のある店だけではなく、それほどお客が入らない店にも行ってみると「なぜ客が入らないのか?」と考えることになるでしょう。
そして、せっかく身銭を切ってよその店に行くのだから、勉強させてもらいましょう。
店に入ったらチェックするのは、以下の項目です。
繁華街か郊外か
通りを歩いている人が多いかどうか
一階か二階か、またはビルの中か
チェックしておくと開業した時に参考になる
値段と量、使っているグラスや皿なども
料理メインかお酒メインか
食事するお店とお酒を飲むお店の明るさのちがい
動きやすそうかどうか
棚や冷蔵庫が客から見えているか、それともバックスペースがあるか
客前で洗い物をしているか
年齢層、仕事、男女比
ひとり客か少人数かグループ客が多いか
友達のような接客か、一定の距離感を保っているか
もしくはまったく客としゃべらないか
どのように動いているか
このほかに私が必ずチェックしていたのは「お酒の量」でした。
私は焼酎バーの経営を考えていたので、ショットで頼んだ場合の焼酎の量は必ず見ました。
ウイスキーであれば「シングル、ダブル」といった基準があるのですが、焼酎には基準がありません。
焼酎界で「六四のお湯割り」という言葉があります。
焼酎が六、四はお湯という割り方の度合いのことです。
例えば焼酎のお湯割りを頼んで、どのくらいの大きさのグラスで、どのくらいの割り方で出てくるか、というのは、お店をはじめる上で最重要課題でした。
ところが、マスターがひとりで経営する居酒屋では、ロックグラスにかなり薄いお湯の味しかしないお湯割りが出てきました。
また九州の人が経営する居酒屋では、大きめの陶器のカップにかなり濃いめのお湯わりが出てきました。
飲み応えがあり、店を出るまでに二杯頼んだだけで済みました。
多分マスターの店では、焼酎をジガーカップで計っていたのだと思います。
マスターはイケメンで、フレンドリーなトークはとても良かったのですが、私は二度とその店には行きませんでした。
のんべえに取っては「お酒の量」というのは、店を選ぶ時の基準になります。
つまみは普通でも「あそこは一杯の量が多い」というのはそれだけでアドバンテージになります。
お金を払って勉強する
これからお店を出すのに、ムダなお金は使えない、と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、ここでお金を出して勉強しておくことで、開店した時のイメージが明確になります。
良い店の良いところ、悪い店の悪いところをチェックすることによって、失敗を少なくすることができるでしょう。
また、小さな街では飲み歩く人どうしの繫がりというのもできています。
連絡先を交換すれば、お勧めのお店を教えてもらったり、いざ自分の店を開く時にお客になってくれるかもしれません。
また「店をやりたい」ということで顔を売っておけば、空き店舗や不要になった厨房機器の情報を貰ったりもします。
SNSをはじめる
世はSNS時代です。
もししていないようであれば、今すぐ始めたほうが良いでしょう。
フェイスブック、インスタグラムで地元の人を中心にフォローしてみてください。
そしてプロフィールには「自分のお店を出す夢のために頑張っている最中です」などと書くこと。
食べにいったお店、呑んだお酒、自作の料理などをアップし、また他人の投稿にも「いいね」を付ける。
開店前から情報を流し、繫がりを作ることによって、あなたのファンがたくさんできるでしょう。
たくさんフォローされることによって、開店時からお客様が途切れず入るはずです。
それと、もし開店資金が足りないとなったらクラウドファンディングという手もあります。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングというのは、わかりやすく言えばネット上の「寄付」です。
ただし、寄付してくれた人には「リターン」を返さなくてはなりません。
魅力的なリターンがあれば、寄付してもらえるし、その後も店に通ってもらえる可能性が高いです。
Makuake(マクアケ)、キャンプファイヤーなど、見てみるだけでも勉強になりますよ。
まとめ
今回は店を始めるまでの準備期間で何をするべきか、ということを書きました。
飲食店で働く
ほかの店のチェックをする
SNSをはじめる
これらは必ずしも「しなくてはいけない」わけではありません。
四つのどれもやらずに開業した店もたくさんあります。
但し、何もやらない人は商売を軌道に乗せるまでかなり苦労すると思います。
あなたもこんな経験をしたことはありませんか?
お店に入ったら飲み物が出てくるのが遅い、料理が値段と見合っていない、掃除が行き届いていない……。
そんな風に感じたら、その店には二度と行かないですよね。
せっかく来てくれたお客様なのだから、一度でトリコにしてしまうくらいのお店を作りたいものです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回はついに開店準備編です。
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